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南の植物ほどセンシティブ:異なる緯度に生育する植物が感受性の異なる環境センサーを持つことを世界で初めて発見

2021年05月07日


◆発表のポイント

  • 光環境や気温が異なる場所に生育する植物が、光や温度に対する感受性の異なる環境センサー(フィトクロム)を持つことを世界で初めて発見しました。
  • 環境に対する感受性の異なるセンサーを獲得することが、植物にとって新しい環境に適応するための進化機構であることを裏付ける初めての証拠です。
  • さまざまな栽培環境に対して最適な性質を持つ植物を、あらゆる植物に対してデザインできるようにする技術を新たに創出することにつながる発見です。

 岡山大学資源植物科学研究所の池田啓准教授らのグループは、光環境や気温が異なる場所に生育する植物が、光や温度に対する感受性の異なる環境センサー(フィトクロム)を持つことを世界で初めて発見しました。本研究成果は5月4日、英国の植物学雑誌「New Phytologist(電子版)」で公開されました。
 植物は、周囲を取り巻く光環境や気温を感知するセンサーとしての役割を持つタンパク質を用いることで、環境に適応して生きるための生理現象を制御しています。本研究成果は、日本列島と北極周辺という、生育環境が大きく異なる場所に生育する植物の生理特性や進化を調べることで、異なる環境に生育する植物が、感受性の異なる環境センサー(フィトクロム)を進化の中で獲得したことを明らかにしました。
 本研究成果は、植物が地球上のさまざまな環境に適応し、多様化を遂げた仕組みを、植物の生理現象を制御する分子機構の観点から理解できるようにする基盤を構築します。また、あらゆる農作物に対して、栽培環境に最適な性質を持つ植物をデザインできる汎用性のある技術を新たに創出することにつながる発見です。

◆研究者からのひとこと

研究を始めた大学院生の頃から「こういう研究をしたい!」と漠然と頭に描いていたイメージを形にできた成果だけに、しっかりと論文を発表できたのはうれしい限りです。
池田准教授

■論文情報
論文名:Divergence in red light responses associated with thermal reversion of PHYTOCHROME B between high- and low-latitude species
「高緯度に分布する種と低緯度に分布する種で分化したフィトクロムBの暗反転に関連した赤色光に対する生理応答」

掲載紙:New Phytologist
著 者:Hajime Ikeda, Tomomi Suzuki, Yoshito Oka, A. Lovisa S. Gustafsson, Christian Brochmann, Nobuyoshi Mochizuki, Akira Nagatani
D O I:10.1111/nph.17381
U R L:https://nph.onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/nph.17381

<詳しい研究内容について>
南の植物ほどセンシティブ:異なる緯度に生育する植物が感受性の異なる環境センサーを持つことを世界で初めて発見


<お問い合わせ>
岡山大学資源植物科学研究所
准教授 池田 啓
(電話番号)086-434-1238
(FAX番号)086-434-1249