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細胞内での発現量に着目した、タンパク質の毒性の有無の定義法を確立 ―毒にならないタンパク質を知ることで、毒になるタンパク質を知る―

◆発表のポイント

  • 毒性のないタンパク質であっても、過剰に産生されると、他の重要なタンパク質の合成のためのリソースを奪うことで生体に害をなすことが知られています。
  • これを利用して、「あるタンパク質が、細胞内でどれだけ作られると害をなすか」(限界発現量)を測り、比較することで、タンパク質の毒性の有無を明確に定義する方法を確立しました。
  • タンパク質が毒をなすメカニズムの解明につながるとともに、タンパク質の過剰や蓄積により生じる病態の理解などに役立つことが期待されます。

 本学環境生命科学研究科の守屋央朗准教授と江口優一大学院生らの研究グループは、出芽酵母のアルコール発酵に関わるタンパク質を対象に、どれだけ作られたら害をなすか(限界発現量)を測ることで、細胞内で過剰にした際に害にならならいタンパク質を明らかにしました。また、そのことから無害でない=害をなすタンパク質が明らかになり、害をなすメカニズムとして、代謝活性、細胞内局在、システイン残基を介した凝集があることを見いだしました。
 本研究で、害をなすタンパク質を明確に定義することが初めて可能になり、今後タンパク質の過剰が引き起こす害についての理解が進むと考えられます。この知識は、がんや神経変性疾患などタンパク質の過剰や蓄積により生じる病態の理解や、細胞を利用してタンパク質を大量産生させる際に利用されると考えられます。本研究は、神戸大学と明治大学との共同研究により行われたもので、2018年8月10日に英国の学術誌「eLIFE」に掲載されました。

◆研究者からのひとこと

「細胞内のタンパク質が過剰になったら何が起きるのか?」を実験データと推理から明らかにするという頭脳ゲームを日々楽しんでいます。江口は筋トレに励み、筋肉タンパク質が過剰気味です。top
守屋准教授(左)と江口大学院生

■論文情報
 論 文 名:Estimating the protein burden limit of yeast cells by measuring the expression limits of glycolytic proteins (解糖系タンパク質の発現限界から見積もる酵母細胞のタンパク質負荷限界)
 掲 載 紙:eLIFE
 著  者:Yuichi Eguchi、 Koji Makanae、 Tomohisa Hasunuma、 Yuko Ishibashi、 Keiji Kito、 Hisao Moriya
 D O I:10.7554/eLife.34595
 U R L:https://elifesciences.org/articles/34595

<詳しい研究内容はこちら>
細胞内での発現量に着目した、タンパク質の毒性の有無の定義法を確立―毒にならないタンパク質を知ることで、毒になるタンパク質を知る―

<お問い合わせ>
岡山大学異分野融合先端研究コア/大学院環境生命科学研究科
准教授 守屋央朗
(電話番号)086-251-8712(FAX)086-251-8716